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株式投資をやっていると、ニュースやYoutubeなど様々な所で、良く聞くのが、「米国の経済指標の結果がどうなったとか」、「パウエル議長の話を受けて株価が下落」といった話が出てくると思います。
特に、大きな話題になるのが「雇用統計」と「CPI」かと思います。
この「雇用統計」と「CPI」は単に数値が上がっていれば良いというものではないです。
数値は良かったのに何で株価が下がってしまったんだろうとか思った事はないですか?
今日はこの辺のお話をしていきたいと思います。
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1、経済指標の確認
各経済指標は、決まった日付に発表されます。その日程を知る方法になります。
「経済指標カレンダー」と検索をかけると様々な証券会社で経済指標カレンダーを出している事が確認できます。人により利用しやすいものが違ってくると思いますので、ご自身で探してみるのが良いと思います。
ここでは、私が使っているものを紹介します。
TRADING ECONOMICSの紹介
「TRADING ECONOMICS」というサイトになります(下記画像)。英語でのサイトになる為、初心者には難しいかもしれません。
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このサイトの良い所は、2点あります。
① 指標の重要度をフィルタリングできる所です。「Impact(赤枠)」をクリックすると、★の数で重要度の高い物だけを絞る事ができます。
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② 世界中の指標が載っている事。アメリカだけでなく、ヨーロッパ、アジア、中東等とあらゆる国の重要指標が確認できる事です。
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英語の為、最初は、何の指標が分かりづらいですが、大体、決まった内容ですので、使っているうちに何となく分かってくると思います。
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「みんかぶ」の経済指標カレンダーの紹介
英語で分かりづらいという人は「みんかぶ」等の日本語サイトを利用すると良いと思います。
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2、指標の数値(CPI)について
経済指標は、3つの数値が必ずセットになっています。
1.前回の数値
2.今回のアナリストの予想
3.実績値
経済指標は、前回の数値との比較とで、成り立っています。
アナリストの予想値は、あくまで予想でおそらくこの位になるだろうという予測になります。実績値とは何の関係もありません。
しかし、アナリストの予想は、多くの投資家や証券会社らの予想を元に作成されている為、この値が実績値と乖離があると、投資家にとって、予想外となる為、株式市場に動揺が走るケースがある。一方で、乖離が無い場合は、予想通りとなり、市場には織り込み済みとなる可能性がある
経済指標は、前回の数値との比較がメインになるいいましたが、これはその時の経済状況で大きく変わります。単に前回よりも数値が上昇していれば良いというものではないという事です。
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CPIのケース
CPI(Consumer Price Index:消費者物価指数)は、消費者物価の上昇割合を前年の数値との比較差分から算出されている数値です。
図で表すと、CPIデータは以下の図になります。消費者物価指数はずっと上昇している状態となります。
画像はFREDより取得。FREDの使い方は、こちらから
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さらに前年度との比較%表示したものが以下になります。
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CPIで発表される数字は、前年度からの上昇率を表した数値という事になります。
2023年の1月に発表された時の数字を例にすると、以下になります。
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前回、2022年12月時の値が7.1%になっており、今回は6.5%と低い数値となっています。
消費者物価上昇率は、2~3%程度の上昇率が理想とされています。低すぎても、高すぎてもダメなんです。
7.1%というのは、高い数値なのです。物価が上昇し過ぎている⇒インフレが起こっているとなります。
ですので、今回、6.5%に下がったというのは、良い方向に進んでいると捉える事ができるんです。
今は、FRB(米国の連邦準備制度理事会)がインフレを抑え込もうと動いているので、7.1%⇒6.5%に下がった事は、「Good」という事になります。
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3、指標の判断ポイント(CPI)
この経済指標(CPI)の動きについては、以下の3つのポイントで見る必要があります。
1. FRBの狙いがどういうものか?
景気を抑えようとしているのか?、景気を押し上げようとしているのか?これにより、指標を見る際の方向性が全く真逆になってしまいます。
今回は、インフレを抑え込もうとしていた為、数字が低くなる方が「良い」だったのですが、これがデフレを解消したいとなった時は、数字が高くなる方が「良い」となるので、しっかり理解しておきましょう
2.数値は前回からどう動いたのか
FRBの狙い通りだったのか?、そうではなかったのか?
狙い通りだった場合は、予想通りとなりますので、影響は低いと想定されます。しかし、金利の上昇が引き続き続くとなれば、株式市場にとっては、逆風となる事も頭の隅に入れておきましょう。
3.アナリストの予想値との乖離はあったのか
アナリスト通りの予想か、又は近しい値が出ているのか?それとも全く違う値が出ているのか?
アナリストは、証券会社や投資家予想が入っていますので、これと乖離するという事は、投資家達の予想の当てが外れる⇒取引の方向性を間違えているかも?という可能性を示唆しますので、株式市場が動く可能性があります。
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雇用統計のケース
経済指標の内容によっても、数値の見方は変わってきます。
先程、CPIでは、今回のケースにおいては、数値が下がっている方が良いという流れになりましたが、雇用統計においては、どう見たら良いでしょう。
「雇用統計」とは、雇用者人数や失業率の数値になります。
答えは、数値によりますが、雇用者人数においては、「下がっている方が良い」です。失業率に関しては。「上がっているが良い」です。
それを踏まえて、今回の雇用統計を見てみると(下図参照)、雇用者数は、前回よりも大幅増、アナリストの予想よりも大幅増となっており、インフレが抑制されていないという事になります。
※頭こんがらがってきそうですよね。
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雇用が増えるという事は景気が良い。となり、インフレが進んでいると捉えられるんです。景気を抑え込もうとしていれば、当然、企業は、景気後退に入り、「人を雇わなくなる=失業者が増える」(失業率上昇、雇用者人数減少)となる訳です。
この数値受けて、2023年末には利下げに転じると思われていた米国市場に暗雲が沸き始めてきた感じになっています。
経済指標の見方は、ちょっとややこしいので、慣れない内は分かりづらいと思います。Youtuberの方や、解説ブログ等を見て、しっかり内容を理解しておきましょう。
株式投資を基本から勉強したい方へ
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