貸株サービスとは、何なのか?色々調べてみました。あまり深く考える事もなく、金利がもらえるという点だけにフォーカスしてしまっていて、デメリットがあるのかどうかもわからず、使っていた所があったので、一度調べておくべきかなと思ったのが今回の内容になります。はたしてどんなデメリットがあるのか?
結論から言えば、メリットだけではないです。デメリットもありますので、しっかりご自身の収入を確認してから利用するのが、ポイントです。
メリット
貸株サービスとは、現在、保有している株式を、証券会社に貸出す事で、貸出期間に応じて、金利がもらえるサービスです。
貸出をしていても、売買は可能です。その為、購入してから、売却するまでの間で貸出金利を得たい場合は、貸出をしておくと、保有中も金利が手に入れることができるようになります。※全ての銘柄が対象ではありませんので、必ずご自身の証券会社のHPで確認しましょう。
メリットは、大きく2つです。
- 貸株金利を受け取れる
- いつでも売却ができる
楽天証券の対象銘柄はこちらから確認ができます。
デメリットは無いように思われますが、以下のデメリットがあります。
デメリット
貸出期間が配当や優待の権利日を跨ぐ場合、配当/優待の権利を失ってしまいます。その為、配当率が貸株金利より高い場合、損になってしまいます。
また、貸株ではない株式は、投資者保護基金による保護の対象となり、株式が返却されますが、
貸株に出している株式は、使っている証券会社が倒産した場合、返却されません。
それと、貸株を利用している時の配当金は、課税区分が、「配当所得」ではなく、「雑所得」となり、課税の仕組みが変わってきます。
雑所得と配当所得で何が違うのか?
通常、株式取引における配当金や売却益の税率は20%程度(所得税+住民税)と低率に設定されています(株式売買益を所得税とは別の税率として扱っています)。
しかし、貸株サービスを利用すると、給与等と同様の税金の扱いとなり、総所得金額が多ければ、その分、多くの税金が取られる仕組みとなっています。
そうなると、貸株金利を得られたとしても、税金で支払う分が増える事で、結果として、手元に残る利益が少なくなる事もあります。さらに、特定口座を利用している人であれば、証券会社にて自動的に配当益や譲渡益から税金を控除されて、支払いが完了しますが、これが、貸株サービスを利用して「雑所得」となると、確定申告をしなければいけなくなるという手間がかかってしまいます。
デメリットは大きく以下の3点です。
- 配当金や株主優待が受けられない
- 証券会社が倒産した場合、株式の返却がない
- 貸株時の配当は、雑所得扱いとなり、課税額が変わってくる
これらのデメリットを、全て回避できる訳ではありませんが、折衷案が以下の回避方法になります。私が使っている楽天証券での方法になりますので、他証券を利用の方は、ご自身の証券会社のHPにて確認の上、行って下さい。
デメリットの一部回避方法
デメリット① 配当金や株主優待が受けられない
楽天証券では、「優待・有配優先」という設定があります。これを利用すると、配当・優待時には、貸株を自分の手元に返却し、優待と配当を得られるようになります。貸株金利を受け取りながら、優待と配当も得られるという両得になる訳です。
デメリット② 倒産時のリスク
ご自身の証券会社の決算情報を確認しておくと良いと思います。楽天証券では、HPに決算情報が開示されていますので、この情報を確認しておき、赤字になっているとか、債務超過になっているといった状態になったら、他の証券会社に株式を移転するなどして対策すると良いと思います。
デメリット③ 貸株サービス利用による課税区分の変更
ご自身の収入総額との相談になります。
雑所得の税額は、他所得との合計額に「所得税率」を掛けて計算します。その為、総所得額(給与+副収入+配当等諸々合計)が600万円以下であれば、税率が20%ですので、雑所得でも、配当所得と同率範囲内ですので、問題ないかと思われます。
但し、確定申告の必要はある為、サラリーマンの方で会社の源泉所得等で、確定申告の必要が無い人は、確定申告の手間が増えます。詳細は税理士さんなどに確認して見て下さい。700万円以上の収入がある人(23%)は、税率が配当所得(20%)より上がってくる為、税金の支払いが増えてしまう事になります。も
所得税の税額は以下の通りです。
逆に、総所得額が300万円以下の方の場合は、税率が10%となりますので、貸株サービスを積極的に利用して、雑所得扱いにした方が、配当所得(20%)よりもお得になるというケースもあります。ご自身のトレード力も考慮して、利用すると良いかと思います。基本収入200万円+株式益100万円(年間)の人は、雑所得でも良いかと思います。但し、確定申告は必要となります。
貸株サービスを利用しない方が良い時とは
ここまでお話してきましたが、分かりにくい部分もあると思いますので(特に税金関連)、貸株サービスを利用してはいけない時はどんな時か?について、簡単にまとめておこうと思います。
1つ目は、利用している証券会社が赤字になっている場合ですね。倒産した場合に、保有している株式も失ってしまうリスクがある為、被害は甚大です。ここはしっかり確認しておきましょう。
2つ目は、課税区分です。収入が多い人が対象になります。
こちらは、細かく分かれてくると思います。
例を挙げて説明すると、給与収入500万円+株式収入500万円の人がいたとします。
貸株サービスを利用していると、株式収入が「雑所得」となり、総合課税(給与+株式合算)となる為、1000万円に対し、33%の税率となります。
貸株サービスを利用しなければ、株式収入が「配当所得」となり、分離課税(給与と株式を分けて課税)となる為、給与500万円に対し20%の税率、株式収入500万に対し20%の税率となり、全体で20%の税率になります。
同じ1000万円の収入に対し、一方は33%→330万円の納税に対し、他方は20%→200万円の納税となれば、どちらがお得かは分かりますよね。
他方で、給与収入300万円+株式収入100万円の人であれば、内容が逆転します
貸株サービスを利用しなければ、株式収益が「配当所得」となり、分離課税(給与と株式を分けて課税)となる為、給与200万円に対し10%の税率、株式収入100万に対し20%の税率となり、全体で13%の税率になります。
貸株サービスを利用すれば、株式収入が「雑所得」となり、総合課税(給与+株式合算)となる為、300万円に対し、10%の税率となります。
まとめると、以下、表の様になるのかと
収入の少ない人は、貸株サービスを利用したほうがお得になると思われます。詳細は税理士さんに確認してみて下さい。
貸株サービスの利用/設定方法
楽天証券での貸株サービスの利用方法については、以下になります。
楽天証券のWEBホームページにログインして、上記タブから「国内株式」→「貸株」→「貸株一覧・貸出・返却」をクリック。ページが開いたら、下へとスクロールします。
下に行くと、自身が持っている株式が表になって表示されてきます。
貸し出したい銘柄の表の右から2列目の「貸出設定」の列の「変更」のボタンを押します。
下記画像のダイアログボックスが開きます。
「貸出設定」の列で「全貸/未貸/一部未貸」のいずれかに設定し、「株主優待・配当金自動取得」の列を「金利優先/優待優先/優待・有配優先」のいずれかに設定します。
- 全貸:保有現物を全て貸出。※基本全貸で良いと思います。
- 未貸:貸出をやめる。
- 一部未貸:保有現物の一部を貸出。
- 金利優先:配当を優先して貸出。
- 優待優先:優待を優先して貸出。
- 優待・有配優先:配当と優待を優先して貸出。※優待・有配優先の設定で良いと思います。
設定をしたら、「取引暗証番号」を入力して、「決定」ボタンを押せばOKです。一覧に戻るので、変更されたかを確認しておきましょう。
以上で、貸出サービスの設定は終わりです。
貸株サービスの利用ができない人は
もし貸株サービスの利用自体ができない人がいましたら、TOPページの以下の画像(赤枠)の所から、申込をしましょう。
もっと株式投資を勉強したい方は下記リンクからご覧下さい。
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