株式相場の環境について~2つのサイクル~

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株式相場には2つのサイクルがある事をご存じでしょうか?この2つのサイクルの事をしっかりと頭に入れておく事で、適さない環境では、取引せずに静観したり、上昇相場時には積極的取引に参加する事で爆益が狙えたりします。これを知らないと、全く上がらない銘柄をひたすら上がるまで待ち続けるといった無駄な取引を繰り返す事となります。

2つのサイクル

株式相場の環境には、株式相場のサイクルとセクターサイクルという2つのサイクルがあります。この2つのサイクルを理解して、今がどこに位置しているのかを知る事で、どの銘柄に資金が集まりやすい、買われやすいという目安になります。順に説明していきます。

株式相場のサイクル

このサイクルは、政策金利や金融緩和と大きく関係しているサイクルです。このサイクルを知る事で、今が株式市場にとって買い時なのか、そうでないのかが分かるようになっています。言葉で説明するよりも図で示した方が早いので、下記の画像をご覧下さい。

1、金融相場

株式市場で最も大事な局面です。この局面で買う事で、初心者でも株式取引で楽に勝てる絶好の機会となります。ではその相場環境について、解説します。

金融相場は、不景気により、企業業績も悪く、株式市場も閑散となっている中、中央銀行(日本で言えば日本銀行)が景気回復の対策として、金融緩和(日本銀行が市場の株式を購入したり、政策金利を下げたりする事)を行うタイミングの事です。

直近の出来事で言えば、コロナが大流行した事により、各企業の業績が大幅に悪化し、景気が大きく後退した時です。この時に日本銀行が株式市場の株式を大量購入した事で、市場にお金を流入させる対策をしました。その結果、株価が大きく上昇する事となったわけです。

これは、公的資金での大幅な株式購入により、株価が下支えされ、下落する事なく、株価が上昇していく状態(お祭り状態)となる為です。この上昇相場で株式を購入すれば、ほとんどの株式が上昇する為、勝率が飛躍的に上がります。

ただ、この頃の株式相場は、下落しきっており、すっかり枯れている為、買い手も少なく、ほとんどの人がその状況に気づかないと言われています。もしくは個人投資家は資金を投入しきっており、ロスカットや含み損の為、買い増しできる資金もない状態となっており、気づいた頃には上昇し、後乗り相場となるケースが多いとされています。常日頃から相場環境に気を配って経済状況を把握し、資金に余裕のある人だけが、この相場に乗れるという訳です。この相場に乗れた億トレーダーのニュースが流れる頃には、もうほぼこの金融相場は終盤となっています。

2、業績相場

業績相場は、金融緩和により、企業の業績回復と景気回復が進んでいく局面で、決算内容もよく、高配当/好優待と株式市場が活気づく状況です。先の金融相場で億トレーダーが誕生するなど、ニュースが取り上げる事で、新規の投資家の参入も相まって、株価もさらに上昇へと進みます。しかし、同時に上昇しきった銘柄には、売り圧がかかる時期とも言えます。

金融相場で株式市場が盛り上がってくると、後乗りで入ってくる投資家が出始めるのが、この頃かと思います。しかし、業績相場では、金融相場と違い、決算書にしっかりと目を通し、銘柄選定した上で、取引をしないと、チャート形状だけの取引をすると、痛い目を見る事になります。加えて2つ目のサイクル状況に合ったセクターへ投資をしないと、業績は良いのに株価が上がらないといった事も起こります。金融相場で億トレーダーが誕生し、それを夢見て、参入した初心者が、この相場で返り討ちにあうという事が非常に多い相場と言えます。

業績相場では、景気回復局面となる為、中央銀行の株式購入が減少します。その為、投資家も対象を絞った投資をしてくるようになります。業績がしっかり伸びている銘柄を決算状況から読み解く必要が有ります。と同時に、セクターも状況に応じて変えていかなければいけません(※2つ目のセクターサイクルを参照)。

3、逆金融相場

逆金融相場とは、株式取引の終わりが近づく相場環境です。景気が上がり過ぎて、インフレやバブル状態となり、業績も頭打ちし、インフレ抑制の為に政策金利上昇を行う対策をされてくる為、さらに業績悪化となる懸念が出てきます。こうなると、株式自体が投資対象として妙味が無くなってくる為、投資家が株式市場からお金を引き出し始めるという訳です。これにより株価が徐々に下落していく状態となっていきます。

何故、インフレ(物価上昇)抑制に対し、金利を上げるのかという疑問

これは、物価が1年で5%上昇し(インフレ)、金利が1%だったとした場合、物を買って、転売等すれば(不動産投資等など)、5%の利益が出ると想定され、金利が1%だと、銀行に預けるよりも、転売をした方が儲かると考えられる人が増えるという事です。逆に金利が5%で物価上昇が2%だったら、銀行に預けておいた方がお得と感じる為、物が買われなくなり、インフレ抑制につながると考えられています。

4、逆業績相場

逆業績相場とは、株式取引が閑散とする相場環境です。先の逆金融相場により、株式市場から多くの投資マネーが流出した為、株価は大きく下落しており、誰も株式市場に投資をしなくなります。個人投資家は損切や含み損、最悪、ロスカットになっているケースもあり、株式市場は閑散としてくる訳です。買っても全く上がらず、含み損だけが増えていくという状態となります。この時は株式市場では取引せずに静観するのもありかもしれません。

この逆業績相場からの脱却が、金融緩和による政策介入となる訳です。金利上昇から、一転、金利引き下げの政策転換や日本銀行の株式買い入れプログラムの発動などにより、再び、投資家が株式市場にマネーを入れてくることにより、金融相場へと移っていくという訳です。

株式相場はこの4つのサイクルを繰り返す相場環境となっています。但し、その明確なタイミングは決まっておらず、経済状況や相場状況によって刻一刻と変わっていくという感じです。その為、常に経済/相場状況を把握しながら、次の動きを予測し、取引をしていく事が大事です。

セクターサイクル

セクターサイクルはその名の通り、景気と金利状況において、妙味があるとされるセクターを表したものになります。又、セクターサイクルは上記の株式相場のサイクルとセットで考えても良いと思います。若干の差異はありますが、相場サイクルとの状況を加味した色分けをして組み合わせています。(※表の銘柄が絶対に買われるという訳ではないので、ご注意下さい。業績が上がりやすい又は買われやすい対象という事になります)

不景気から、政策金利低下や中央銀行の買い入れが起こると、市場にお金が増える為、その余ったお金をIPOや新しいテーマの会社に投資を行う投資家や企業が増える事から、業績が赤字であっても、投資対象としてテーマ性のある株やハイテク株(ハイグロース株)が買われやすくなります。近年だとコロナ下で、暗号資産株のCAICA(2315)やグローバルウェイ(3936)が大きく上昇したのが真新しいと思います。この2つの会社の業績は決して良くはないですが、大きく買われチャートは大きく上昇しました。思惑株/期待株と言われて、この時期に、そういった銘柄が買われて上昇します。しかし、その後、業績結果が伴ってこなければ、大きく下げる事となる為、注意も必要です。下記にそのチャートと業績を掲載しています。

株探
グローバルウェイ決算(株探より)
株探
CAICA決算(株探より)

その後、金融緩和により、景気が活気づき始めると、企業の業績もこれに伴い、上昇しだす為、ここからは、業績重視の銘柄が買われるようになります。景気に左右される株(景気循環株)に投資対象が移行していく事になります。不景気からの回復により、素材株や設備投資株なども業績上昇の期待から買われやすくなります。(※本来であれば、景気が上昇する事で、飲食やその他の銘柄も対象となるのですが、直近のコロナの時では、3蜜回避や海外渡航制限といった為に、そういった銘柄が回復しなかった為、株価上昇へはつながらなかったと考えられます)

その後、景気が活況づくと、物価上昇(インフレ)が起こる為、石油価格増→ガソリン増→輸送コスト増→販売価格増と連鎖的に物価高の影響を受ける事となります。しかし、同時に賃金高ともなる為、企業業績は横ばいとなり、株価も横ばいとなります。しかし、その中で、石油や石炭を扱っている基となっているエネルギー株だけは、業績上昇の可能性がある為、投資対象となっていきます。

さらに物価高が続くと、消費者の購買意欲が下がり、企業業績も悪化し始めます。投資家も株式市場から抜け始める為、株価の下落も起こります。さらに、物価上昇を抑える為に、政策金利を上げるといった対策を行い始めます。こうなると、有利子負債を抱える企業や新規参入した借入がある企業は、支払い金利が増える為、業績圧迫となり、業績がさらに悪くなります。この時は、生活に欠かせないものとして、消費安定株(必須な日用品/ディスカウント品)や通信株(固定通信網)、公共株電力/ガス、ヘルスケア(医療系)といった銘柄が投資対象となっていくと考えられています。

このような経済状況と金利の動きを加味して、投資銘柄が動いており、それに反した投資を行うと、業績が良いのに、株価が下がってしまったという事も起こり得ます。大口が投資対象を変更してしまうと、大量の売り抜けが起こる為、株価が大きく下落する可能性もあります。

このセクターサイクルが、必ずしも全ての銘柄に当てはまるわけではないですが、経済状況と金利状態で確かに、業績が上がっていく銘柄もあるので、参考にしておくと、先読みで株式の購入ができる為、投資タイミングを逃さずに購入できるようになると思います。

補足:5月相場のアノマリー(セルインメイ「Sell in May」)について

5月は下げ相場になりやすいというアノマリー(根拠ははっきりしないが、事象が起こっている事)があります。セルインメイと呼ばれています。4月の後半のGW入りから5月にかけて、株式が売られる傾向があるという事です。その為、上記のサイクルとは別に5月に株価が大きく下落する可能性がある為、別途注意が必要となります。一説には米国市場では、5月に株を売ってバカンスに行けと言う風習によるとも言われています。

まとめ

株式市場の2つのサイクルを理解すると、今はどの状態にあって、どのセクターが投資対象なのかが明確になるかと思います。単に業績が良い又はメジャーな銘柄だけを購入すれば良いというだけではないという事が分かると思います。現在の株式市場がどの状態にあるのか?その時にはどの銘柄を見た方が良いのかという事を気に留めておくと、相場の違った見方ができると思います。私が株式投資を始めて、1年目(2021年)の時は、この事を知らず、闇雲にトレードをして、-30万円の損失となってしまいました。しかし、2022年は、5月現在までで、微益ですが、プラスで推移しています(かなり難しい相場ですが、生き残っています笑)。

この内容を読んだだけで、勝てるとは思わずに、日頃から相場と向き合っていく事をお勧めします。情報を手に入れる努力をする事です。相場は常に変動していると思って取引をしましょう。私もこれに満足せず日々、精進を心がけていきたいと思っています。

何故、この銘柄が買われていくのか?何故、この銘柄は下がっていくのか?を考えながら取引をする事が、株式投資の魅力だと思います。そこから様々な知識と経験を得ていく事が、株式投資での成果につながっていくのではないかと思われます。

もっと株式投資を勉強したい方は下記リンクからご覧下さい。

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